プロローグ はじまりは、親子丼

2020-05-14

「先日はありがとうございました。今晩か明日、またお願いできませんか、、、」
「難しいですか」
夕食後テレビを見ていたら、彼女から矢継ぎ早に送られてきたメール。僕は返信する
「わかりました。今日がいいの?」
「出来たら…」

深夜のファミレス(実際の場所とはまったく関係ありません)

「いまから40分後でいい?」
「ありがとうございます。近くまで来たらメールください」
夜中のファミリーレストランの駐車場。彼女と昨年初めて出会ったのもこの場所だったな。
「着いたよ」とメールすると、わかったという返信が来て間もなく彼女が手さげを持って、僕の車の助手席に滑り込む。入浴後のにおいが車内に広がる。

「いつもありがとうございます。前回のひどかったでしょう。大丈夫でした?コロナで学校が休校しちゃってから、毎朝娘を預けなくちゃいけなくて、お弁当づくりが大変。はぐれさんも、大変でしょうけど頑張ってくださいね。はいこれ、御約束のやつ。娘とばかり遊んじゃいやよ。」そういって、マスクもつけてないすっぴんの顔で微笑んだ。。

親子丼

「はぐれさん、パンも好きですか」彼女が問いかける。「えっ?パンですか?」何を聞かれたかよくわからず、僕は思わず問い返した?「これ、娘と朝から並んで買ってきたパンなの。すごく有名で売切れたら午前中に店閉めちゃうやつ。感想おしえてね」そういって、車を降りて。自分のマンションの玄関に消えていった。「娘って誰?」僕には何が何だかわからない。初めて会ったときは、警戒していてマスクで顔を隠し、闇の中から足早で現れ、足早に闇の中へ去っていった。それが今では彼女の方がオープンで、明らかに僕とのやり取りの主導権を握っているのだ。

パン(本文とは全く関係ありません)

それから5日後の晩。

「こんばんは、今日か明日お願いできませんか、、、」